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巨匠に邪道と酷評された後の巨匠、「ボクの手塚治虫」 [名作紹介]

矢口高雄といえば「釣りキチ三平」です。子供の頃、周りで読んでる奴は多かったですが、自分は苦手でした。(どうも水木しげる、ちばてつやなど、マガジン系の巨匠がにそういう傾向があるようで。)それなりに年取ってみると、絵がすごく上手いなあという風には思います。特に水の描写。そんな自分が入手困難「野生伝説」に続いて購入し、感銘を受けた矢口高雄作品が「ボクの手塚治虫」です。

ボクの手塚治虫 (講談社文庫)

ボクの手塚治虫 (講談社文庫)

  • 作者: 矢口 高雄
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1994/01
  • メディア: 文庫


吉本浩二の「ブラック・ジャック創作秘話」、浦沢直樹の「PLUTO」や、コージィ城倉の「チェイサー」など、今や手塚治虫リスペクト漫画は一つのジャンルと化しています。この漫画は手塚氏が亡くなられた平成頃に描かれた作品だそうです。
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手塚治虫世代は自分よりちょっと上が最後の世代ではなかろうかと思っています。もちろんアトムや火の鳥は知っていますが、あまり熱中したというほどのことはありません。前述したリスペクト漫画は面白く、手塚治虫すげえとも思うのですが、どちらかというとよくそこまで熱中できるなあと作家を観察する面白さが、それらリスペクト漫画の主な読みどころという感じもします。
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最近、2ちゃんねるのまとめサイトなどで、鳥山明よりも岸本斉史の方が絵が上手いし面白いなどというコメントを読んで「んなわけあるか!」と思ってしまう鳥山明世代の私ですが、自分が手塚治虫にピンとこないのもそういうジェネレーションギャップなのかもしれません。どう言う感想を持つかというのは人それぞれ。確かなことは、ナルトもワンピースもドラゴンボールがあったからこそ生まれてきた作品。少年漫画の歴史を語る上では外せない重要なピースということです。そういう意味で、数々の大作家に影響を与えた手塚治虫も巨匠と言って間違いないと思います。
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「ボクの手塚治虫」では、その凄さがよく伝わってきます。車の絵がまるで飛び出すようだったと矢口氏は語っています。こないだCSで「ゴルゴ13」のさいとうたかをが「漫画で映画のような表現ができることに驚いた」と語っているのも見ました。今では誰もがやっている当たり前すぎる表現なので、手塚リスペクト世代と認識のズレが生じるのも無理はありません。みなもと太郎の「風雲児たち」に、西洋の遠近画を使って「書き割り」で舞台に奥行きを出して観客を驚かせるシーンがありましたが、あんな感覚だったのでしょう。自分の経験で言えば、ゲームの「バーチャファイター」を見た時受けた衝撃と似ているのか。ポリゴンのゲームはすでにいろいろありましたが、あれほど平面の画面の中から生命のリアリティーが伝わってきた表現は他にありませんでした。
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そんな手塚治虫ですが、若い頃は当時の業界の巨匠から「これは漫画の邪道。こんなものが流行ったら大変なことになる。描くのはあんただけにしてもらいたい」と酷評されています。なんという狭量。まあ、手塚の熱心なファンである寺田ヒロオなんかも偏った漫画の定義故に自滅したようなイメージありますから、ことさら何か言うこともない、よくある出来事なのかもしれませんが。
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あとこの「ボクの手塚治虫」ですが、田舎の描写が良い。トイレの話は現代人からすると強烈なエピソードですが、それも漫画につながってくるのが面白い。さらに母親が農作業中に倒れ、死にかけるシーンが壮絶なのですが、それに対して祖父が「何という役立たず」などという暴言を吐くシーンもリアリティーありすぎで必読のワンシーンであります。ちなみにウチの母もこの漫画がお気に入りで、「そりゃ産む機械とか言われた時代だからねえ」などと言ってました。
手塚5.png


ボクの手塚治虫

ボクの手塚治虫

  • 出版社/メーカー: eBookJapan Plus
  • 発売日: 2014/12/19
  • メディア: Kindle版


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