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特定の誰かを不快にさせてまで発信するべきものがある。小林よしのり「ゴーマニズム宣言」 [心に残る1コマ]

「芸術は特定の誰かを不快にさせてまで発信するものでは無い、と美大の先生から教わった」というフレーズがネットで注目を集めているのを見た。だから表現の自由もその上で成り立つと。ちょっと目眩を覚えた。その話の続き。

読み返すほどにゲシュタルト崩壊を起こすフレーズだ。
好意的に、破綻の無いように言い換えるなら、せいぜい「人の嫌がることはやめましょう」と言ってるだけに過ぎない。そんなことは幼稚園で教わることで、芸術とか美大とか、一切関係ない。

今の価値観で測りきれないからこそ芸術は保護されるのである。
誰も不快にさせないものであるなら、わざわざ芸術とする必要がない。それは単なる娯楽だ。

まあそんな理屈は冒頭の発言主もわかってることだろうと思う。想像だが、くっだらないレスバトルでマウントを取るために美大出というプロフィールが必要だっただけの話なのだろう。

 
別に世間でいうところの芸術なんか知らんし、熱く語りたくないのだが、小林よしのりのゴーマニズム宣言のことを世の人が「所詮漫画」だと貶めようとする人がいるなら、あえてこれは芸術なんだと熱く語りたい。

何度も描いたが、ベストセラー作家が、歴史に残るほどのレベルの悪の秘密組織に嫌がられることを承知で、表現の衝動を抑えなかったのはすごい。リスクを承知の上で、疑惑の段階で犯人を決めつけているのだ。考えられない。さらに素晴らしいのは、この時にハッキリと誰かを傷つける、表現はそういうものだと覚悟しているということだ。こんな漫画家は後にも先にも現れないだろう。というか、別に漫画家がこんなことしなくていい。
芸術家.jpg

やってることは理屈の上ではアウトである。
ただ理屈通り手順を踏んでいたら、救えない人もいたのかもしれない。
基本、たまたま良い結果が出ただけのことである。
システム化し、誰もがやっていいことではない。
このギリギリを攻めて成果も出す。
これぞ芸術だ。
 
 
今の価値観だと誰が見てもオウム真理教なんか怪しいに決まってると思うだろう。オウムを批判することに(オウムと争う以外に)そんな苦労はないだろうと思ってしまうのではないか。だが、圧力は外野からどころか、なんと教団批判の作品を発表した掲載誌がオウム擁護のキャンペーンを起こしてしまうのである。しかも誰もが教団を疑うであろう地下鉄サリン事件の後に。こういうことは人々の記憶にあまり残らない。
スパ復活3.png
当時の倫理観や道徳や体制と戦い、生き残ってきた芸術家達の物語も、勧善懲悪化して捉えられているものが多いと思う。だから、芸術は誰も傷つけないとか思ってしまう自称芸術家が生まれてきてしまうし、それが真理だと共感を呼んでしまうのではなかろうかと思う。恐ろしいことだ。そして難しいことだと思う。

 
どうも短くまとめられないみたいなので、
さらに続いて小林よしのり氏について語る。

 
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美大の先生「芸術は誰も不快にしない!」ゲシュタルト崩壊を引き起こすこの言葉について考えてみた [心に残る1コマ]

「芸術は特定の誰かを不快にさせてまで発信するものでは無い、と美大の先生から教わった」というフレーズがネットで注目を集めているのを見た。だから表現の自由もその上で成り立つと。ちょっと目眩を覚えた。

俺が誤読してるのかなと、だんだんゲシュタルト崩壊を起こしてくるようなフレーズなのだが、発言主の他の発言を追ってみると、冴えない男への呪いの言葉を吐き続けているタイプの女性だったので、まああまり深い意味はないのだろうなという結論に落ち着いた。自分が嫌いな表現を抹殺しようと、美大出というプロフィールで説得力を加えたかったのだろう。

自分が芸術を語るのもおこがましいが、世間様にお伺いを立てることを第一義にするものを芸術とは言わないような気がする。もっと純粋に、自分の心からの衝動を表現するものだと思うけど。

しかしだ、これは理想であって、芸術家として食っていきたいのであれば世間様の意向を忖度するのが普通だ。世の中に残っている名作も、世渡り上手が作ったものが多いと思う。そもそも「名作を作った人=人格者」というのはありがちな刷り込みだ。

口当たりの良い言葉に世間が条件反射的に共感することを計算しての冒頭の発言なら随分ひどい話だが、この件については衝動的に便利な言葉として使ったものではないかと個人的には思える(遠回しに褒めてない)。だからゲシュタルト崩壊を起こすのだ。

美大出でもない自分が確信しているのは、審美眼なんて誰にも無いということだ。美の基準も時代によって変わると、日本人の大多数はわかっているとも思う。だから例え現時点でなんの価値がないと判断した他人のなんらかの作品についても、一応畏怖があり尊重する。判断を委ねる。いつか価値が上がるかもと夢見たりする。処分に困るようでなければ、わざわざ率先して焼却したり破壊したりはしない。
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だから、表現の自由は尊重されるのだ。
ある程度道徳的におかしな表現であってもお目こぼしがある。特に性表現については寛容だ。これは源氏物語とか春画とか、エロ表現が代表作な民族だからだと思う。そして不寛容がどれほどの後世において非難されることなのか理解している。
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自身の審美眼(ここ大事)と良識によって他人の作品が焼却&破壊できるかどうか決められると思っている人は間違いなく邪悪だ。それが後世においても評価され続けると信じているなら狂っていると思う。ゾーンニングは大事だが、とんでもない間違いを犯すかもしれないという危機感を持ってのぞむべきである。
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ハレンチ学園の永井豪が文部科学省から表彰されることもある。
アトムや仮面ライダーですら暴力反対の槍玉に上がったことがあるそうだ。
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多くの人の心を動かしたものには反感もつきまとう。新しいものには新しいトラブルもついてまわる。全く共感できないもののために新しいトラブルを背負い込むのが嫌な人間はますます反発する。こういうのを老害、あるいはPTAのオバハンという。誰もが見てきて、ああはなるまいと思ったはずなのに、いつか誰も忘れて、かつて辟易した存在になってしまうのかもしれない。
鳥山犯罪2.png

この件に引っ掛けて何か作品を引用するつもりだったのだが、前置きで結構書けてしまった。次回に続く。
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登校拒否児童がいたらどう関わればいいのか、棚園正一「学校へ行けない僕と9人の先生」を再読する [名作紹介]

棚園正一の「学校へ行けない僕と9人の先生」を電子化した。

作者の不登校時代を描いたものだ。エラーチェックに読み返したのだが、相変わらずボンヤリとした内容だなと思いつつ読んで、でも最後の鳥山明に会うシーンで泣きそうになるぐらい気持ちが高揚してきて卑怯だ!と思う。チェックの結果、結構なページ数でゴミが入っていたので再スキャン。またしんどいなと思いながら再度読み返したのだが、3回目でなんか自分の感想が変わってきて驚いた。

この漫画、少なくとも爆発的には売れてないだろうと思う。鳥山明に会うまでは鬱々とした展開が続いて辛い。どうやれば不登校児を救えるのか。8人の刺客が次々と襲いかかっては最強不登校児に破れて去っていく構成。読者的には「そりゃ失敗するよ」とか、「これでダメだったのか」とか、「そんな方法が!」とか「ああすれば良かったのに!」みたいな感想を持ちたいところだろうが、そうではない。ボンヤリとスタンド攻撃を開始し、ボンヤリ敗れ去っていく。リアルといえばまあリアルだが、見たくないリアルさではある。

見たくないリアルさといえば、家の不幸で疎遠になった友達と無理やりよりを戻そうとして激しく拒絶される展開。なんか思い出したくもない似たようなことを過去に経験したような気がして、無意識に自分がこの作品から目をそらしているようにも思えてくる。しかしよく考えてみれば、こういうことを繰り返して、人付き合いにおける距離感というのを誰しも学んできたのかもしれない。
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最終的に学校について、「やっぱり好きな場所じゃない。ただそれを負い目に感じたり居場所が無い事をあまり気にはしなくなった。まったくしない訳じゃないけど…」としているのは素晴らしい悟りだと思う。人それぞれに性分というものがある。なんでもかんでもポジティブに捉えるべきだ、マイナスよりプラスの方がいいに決まってる、みたいな考えは間違いだと年取るにつれて思うようになってきた。
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人付き合い苦手なんですよ、というと、「え、全然普通に話せてるけど」と戸惑われることがある。訓練や勉強によってコミュ能力は上げることができたけれども、やはり性に合わない事をすると負荷がかかって当然である。結局表面的なものだから、あまり深い信頼関係を気づけないことも知っている。こういう理屈をまったく理解できない幸福な人が多いことについては、もう諦めている。

結局、自分の周りに不登校児がいたとしたら、どう振る舞うのが適切なのか考える。この漫画的にいえば、好きな事をさせたのが正解だったのだろう。その好きなものが、たまたま社会的にある程度評価されるジャンルのものであったのは幸運だった。そしてその道の達人が近い距離にいたことも幸運だった。理想の人間の存在は、成長の良き雛形となるはずである。

8人の先生の多くは読者に明確なカタルシスを与えられるほどの成果を得られず、得られたとしても大して少年に心を許されていない。ここもポイントだと思う。だからと言って失敗だった、やらなきゃ良かったということでもない。幾人の大人が失敗する姿を見せることも重要だったのではないかと思う。誰しも万能ではない。主人公だってそうである。そうやって、等身大の大人を見ることで、身の丈にあったストレスの少ない成長した自分の雛形を主人公は見つけたのではないか。

だから、価値観の押し付けであろうとも、売名であろうとも、8人の先生が自分のやれる事をした結果、たまたま幸福な結果につながった。エンターティメントと呼ぶにはあまりにもボンヤリした流れだ。子育てに正解はねえ!と言ってしまえば身も蓋もないが、まあそういう事だ。カタルシスを得られる子育て漫画を読めることが幸福だとも限らないのかもしれない。それはなんら実用性のない、快楽だけのファンタジー作品かもしれないからだ。

この漫画をもっと売れ線にするために誰もが思いつくであろうことは、成果を出せない先生を醜い悪人にして主人公に拒絶され、成果を出す先生を美形の善人にして主人公と深い信頼関係を結ばせることだ。しかしこの漫画では、主人公の内面を気遣うタイプの先生はあまり良い結果を残せないばかりか、自身もダメージを食らってとっても辛そうだ。反対に、ガサツなタイプの先生は主人公にどう思われようが何処吹く風。そして結果を出している。ガサツでも、何件もプラモ屋を回って鳥山明のレアアイテムを探し出して買ってきてくれる優しさがある。普通こんなことは出来ない。ちょっと考え込んでしまうところだ。でも別に主人公と深い信頼関係で結ばれることもない。うーむ。。。
棚園正一2c.png
 

ところでこの漫画の作者は、現在亀仙人が第一線で戦える実力者になっている展開をどう思うのであろうか。次回作はドラゴンボールブランドの管理が、えらい杜撰になってるように思える件について漫画化してほしい。

 

学校へ行けない僕と9人の先生 (アクションコミックス)

学校へ行けない僕と9人の先生 (アクションコミックス)

  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2015/02/27
  • メディア: Kindle版



ドラゴンボール超 8 (ジャンプコミックス)

ドラゴンボール超 8 (ジャンプコミックス)

  • 作者: とよたろう
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2018/12/04
  • メディア: コミック


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幸福なコミカライズ、島本和彦の隠れた名作!「サムライスピリッツ」 [ゲーム]

来年、サムライスピリッツの新作が出るという。

オリジナルはスト2ブームの頃、ついに出たという感じの武器格闘ゲームだったが、まあ出来もよろしくて人気ゲームとなった。アニメ化もされた。ゲームを作っていたSNKの社運をかけたゲーム機、ネオジオ64のローンチタイトルにも選ばれたのはよかったのか悪かったのか。ポリゴンブームの波に飲み込まれ、SNKが育てた人気タイトルは一夜にして海の底に沈むアトランティス大陸となった。もはや神話となってしまった、遠い昔の話である。

で、その人気全盛の頃、コミックボンボンのコミカライズでなんと島本和彦が描いているのである!島本和彦は量産体制の漫画家で当たり外れがある上に児童誌である。どんな適当なもんが出来上がってくるか嫌な予感がしてしまうのだが、これがまあ見事に嫌な予感が大外れで、島本作品の中でもかなりの傑作な部類なのではなかろうかと思う。

タイアップ的なコミカライズが失敗してしまうのは、作家に与えられる情報が混沌としている発売前に仕事を進めなくてはいけない都合上、モチベーションは上がらないわ、作品をリスペクトする暇もないわで、もはや必然とも言える。

島本版のコミカライズが成功したのは発注時期が要因だと思われる。ゲームは1993年に発売されているが、漫画の連載は94年の6月号から。ゲームをスタッフらとかなりやりこんだのだろう。作画に原作愛がかなり感じられる。ゲームをやったことがある人ならわかる攻防、間の取り方など、そのまんま違和感なく作品に取り入れているのだ。
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キャラクターも捨てキャラなく、原作のイメージを逸脱せず、その上に島本和彦の解釈をのせ発展させているが失敗していないと思うのである。殺伐とせずどこか牧歌的で心地よい世界観だ。

特に不知火幻庵が良い。
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2巻はナコルルの2Pカラーが登場し、良いコンビになっている。
島本サムスピ1.png
最後まで空回りを貫き通して、他キャラと全く噛み合わないガルフォードも良い。
2巻で終わっているのは惜しいと思うぐらいキャラクターがよく出来ている。まあ良いとこで終わってるということかも知れない。

ちなみに同じ時期に内藤泰弘がファミリーコンピュータマガジンでコミカライズを連載している。こちらはオリジナル要素満載で、狙ったのかどうなのか打ち切りっぽい終わり方をしている。
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その翌年、内藤氏は「トライガン」の連載を始め、大ヒットさせてしまうのである。内藤版サムスピは苦手なのだが、自分はトライガンも肌に合わないので、好きな人には面白いのかも知れない。

 

サムライスピリッツ 1 (コミックボンボン)

サムライスピリッツ 1 (コミックボンボン)

  • 作者: 島本 和彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1994/10
  • メディア: コミック



サムライスピリッツ 2 (コミックボンボン)

サムライスピリッツ 2 (コミックボンボン)

  • 作者: 島本 和彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/04
  • メディア: コミック



NEOGEO mini【Amazon.co.jp限定】「TWINKLE STAR SPRITES」STEAMコード 配信

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  • 出版社/メーカー: SNKプレイモア
  • メディア: Video Game



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イギリスが日本攻略具体化、9隻の軍艦で海上封鎖を計画 [歴史漫画]

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コミック乱」連載、みなもと太郎の「風雲児たち」、面白くなってきましたなあ。

生麦事件が起こっているというのに、東禅寺でさらに外国人殺傷事件。しかも同じ場所で二度目。一度目の賠償交渉中に!トラブルが重なることで炎上は起きる。いよいよイギリスが具体的に日本侵攻を考え出した。

大河ドラマ「せごどん」では薩英戦争スルーされたとかTwitterで見かけましたけど、やっぱりお金かかるからやらないのかな。薩英戦争のコミカライズって見た記憶がないけども、あったら教えて欲しい。長州藩vs外国の下関戦争も、歴史漫画ではいきなり終わってるのが多いのでは。大砲を占拠されてる有名な写真1枚で終わりみたいな。

これらも「風雲児たち」では丹念に描写されるのだろうなあ。楽しみだなあ。
さすが坂本龍馬のすごさを語りたいがために、関ヶ原から40年近く連載してきた漫画だよ。連載長すぎて作者の生きているうちに完結できるのかが心配。描き切れるのかなあ。
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(画像はとりみき/田北鑑生「ダイホンヤ」から、説明長すぎるギャグ)



コミック乱 2019年1月号 [雑誌]

コミック乱 2019年1月号 [雑誌]

  • 出版社/メーカー: リイド社
  • 発売日: 2018/11/27
  • メディア: Kindle版



風雲児たち全20巻 完結セット (SPコミックス)

風雲児たち全20巻 完結セット (SPコミックス)

  • 作者: みなもと 太郎
  • 出版社/メーカー: リイド社
  • 発売日: 2010/11/01
  • メディア: コミック



風雲児たち 幕末編 31巻

風雲児たち 幕末編 31巻

  • 出版社/メーカー: リイド社
  • 発売日: 2018/10/29
  • メディア: Kindle版



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千年に一人の美人政治家妻の旦那のセクシーさ!安彦良和「王道の狗」人物伝5:陸奥宗光 [歴史漫画]

「王道の狗」の歴史キャラ解釈を褒め称えるシリーズ5回目は陸奥宗光

小山ゆうの名作「お〜い!竜馬」で、その若き日の姿がよく知られている。
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王道の狗では老成した陸奥がラスボスなのである。
めちゃくちゃセクシーな悪役なので必見だ。
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外野の批判なんてどこ吹く風。
大を生かすために小を殺す。シャレにならないぐらい悪いこともしているが、自分の信じた道を命をかけて貫く、これぞ国家経営者と思えないこともない。ちなみに王道の狗の主人公は貫真人(つらぬきまひと)という名前を与えられているが、主人公以上に貫真人だ。

よくネットで時代を超えた美人と騒がれる、陸奥宗光夫人の亮子も本作に登場する。特に見せ場もないが、単なる華やかしでなく、陸奥の腹黒さも全て呑み込んだ上で連れ添っているのを1コマで表現しているのがすごく良いのだ。狡猾な陸奥が、彼女については不憫だと泣くシーンもすごく良い。
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思うに政治家というのはすごく深みが表現できるキャラなのだ。
大を生かすために小を殺さざるを得ない。
家族に飯を食わせる責任のない人間が、人類皆平等だと言うのは楽だ。
陸奥と敵対する主人公は、嫌が応にもそういうことを学んでいき、その上で自分が貫く道を見つけていく。

 
この漫画は勝海舟も良い。
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大事なのは人物だよ。言ってることや党派なんてどうだっていいのサ。主義主張はどうにでも変わるけど人物は変わりゃしないからね。」「陸奥には気をおつけ。あれは頭がいいよ。坂本龍馬の子分だった頃一緒にめんどうを見てやったが薄情な男サ。昔の弟子はみんな一度は顔を見せたがね。来ないのは陸奥だけ。人物だねえ…。

そんな二人が大好きだったという坂本龍馬とはどんな人物だったのだろう。
この漫画は、後半は勝海舟が作った新造艦を主人公が操ってアジアの海で暗躍するという、坂本龍馬が明治に生きていたら的なテーマもある。

 

王道の狗 全4巻 完結セット (JETS COMICS) [コミックセット]

王道の狗 全4巻 完結セット (JETS COMICS) [コミックセット]

  • 作者: 安彦 良和
  • 出版社/メーカー:
  • メディア: コミック


お~い! 竜馬 文庫版 コミック 全14巻セット (小学館文庫)

お~い! 竜馬 文庫版 コミック 全14巻セット (小学館文庫)

  • 作者: 武田 鉄矢
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2011/03/01
  • メディア: 文庫



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日露戦争の諜報戦に暗躍したスーパーおじいちゃん、みなもと太郎「松吉伝」 [歴史漫画]

ちょっと前、まとめサイトで愛新覚羅(あいしんかくら)という珍しい名字のお医者さんが話題になっていた。調べてみると、定期的に話題になっているらしいが。愛新覚羅はラストエンペラー溥儀の名字で、日本にその末裔がたくさんいるのだそうだ。

自分が愛新覚羅で思い出すのは、みなもと太郎の「松吉伝」
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坂本龍馬の偉大さを伝えたいがために関ヶ原の合戦から話を始め、1979年に連載を開始して39年かかって現在生麦事件までたどり着いた漫画、「風雲児たち」の作者であるみなもと太郎が、スーパーおじいちゃんについて語った一冊だ。

子供ながらに只者でないと違和感があった祖父、松吉の逝去後、遺品を整理する過程で甘粕正彦と交流があったことを知ったみなもと太郎は、ここから長い年月をかけておぼろげな祖父の実像を掴んでいく。
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明治天皇の近衛兵試験を優秀な成績でクリアし、日露戦争の諜報戦で活躍。抗日運動の活発化した朝鮮の田舎で警察長官をし、満州国の建国にも関わっていたという。

同居していた元新聞記者の父が、詳しい話を聞き出そうとしていたが口が堅く、失敗している(このコマがすごい好き)。
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わずかながらに日露戦争勝利の秘密のごく一部を聞き出してはいるが、全く裏の取れない話であることを作者も理解しているので、「眉唾」とした上で描写している。
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ちなみに、安彦良和の「天の血脈」だったかに件の甘粕正彦と、のちに彼に殺される大杉栄が登場する。この松吉伝で、その大杉事件の映画を見た松吉が、甘粕はあんな男ではないと憤慨するシーンがある。大杉事件ってどんなのだったんだろうと、ずっと漫画で読んでみたかったのだが、なんと天の血脈ではそれが一切描写されずに終わってしまっていて心底がっかりした。打ち切り?

ちなみに天の血脈(虹色トロツキーだったかも)では、みなもと太郎ギャグがあった。
そういえば安彦良和は風雲児たちの帯の推薦文も書いていたような気がする。松吉伝も読んでいるのだろうが、それが天の血脈の前だったのか後だったのか。いずれにしても惜しい。

 

風雲児外外伝 松吉伝

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  • 出版社/メーカー: 復刊ドットコム
  • 発売日: 2014/01/20
  • メディア: Kindle版



ラストエンペラー [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: キングレコード
  • メディア: Blu-ray


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直訴ブルドーザー、訴状が天皇陛下に届いたのは112年後!安彦良和「王道の狗」人物伝4:田中正造 [歴史漫画]

「王道の狗」の田中正造がすごく良い。
子供の頃、小学館の「日本の歴史」で読んで知った偉人だ。
足尾銅山の被害を天皇に直接訴えようとするシーンは、なんとなく強烈に印象に残ってしまった。ちなみにこの本には金玉均も頭山満も出てこない。
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王道の狗の田中正造は超パワー系で、ブルドーザーのようだ。
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躊躇なく悪徳官吏をぶん殴り、牢屋に入れられても何処吹く風なキャラクターが鮮烈。
田中正造はこんな人だったのかあ。?
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田中正造といえば、みなもと太郎の傑作、「松吉伝」でも触れられているシーンがインパクトあった。

松吉伝は、みなもと太郎の超人祖父について回想した漫画だ。
みなもと太郎は「眉唾」と控えめに語りつつも、リアリティある描写に「松吉すげえ工工エエエエエ(´Д`)エエエエエ工工!」となってしまい、超オススメの一冊なのだが、その松吉が尊敬していた人物が田中正造だと語られているシーンがあるのだ。正造すげえ。
田中正造4.png
ところでこの引用したコマ、漫画の文法からすると、過去に書いた作品を切り貼りして回想に使っていることになるが、「風雲児たち」では見たことのないような気がするコマだ。出典はどこなのだろう。同人誌か?誰か教えて欲しい。

ちなみに、この時受理されなかった訴状は幸徳秋水が書いたものに正造が加筆し、実際に天皇陛下の元に渡されたのはなんと112年後の2013年のことだそうだ(wikiによる)。

財産はすべて鉱毒反対運動などに使い果たし、死去したときは無一文だったという(wiki)。
田中正造3.png

 
風雲児外外伝 松吉伝

風雲児外外伝 松吉伝

  • 出版社/メーカー: 復刊ドットコム
  • 発売日: 2014/01/20
  • メディア: Kindle版



学習まんが少年少女 日本の歴史 最新24巻セット

学習まんが少年少女 日本の歴史 最新24巻セット

  • 作者: 小学館
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2018/10/26
  • メディア: 大型本



王道の狗 文庫版 コミック 1-4巻セット (中公文庫 コミック版)

王道の狗 文庫版 コミック 1-4巻セット (中公文庫 コミック版)

  • 作者: 安彦 良和
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/12/20
  • メディア: 文庫



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暗殺の引き金はそのまま日清戦争の引き金となった。安彦良和「王道の狗」人物伝3金玉均(きんぎょくきん) [歴史漫画]

金玉均(きんぎょくきん)について、恥ずかしながらゴーマニズム を読むまで知らなかったのだが、「王道の狗」はまさに金玉均が中心人物となる漫画だった。

暗殺される前後の話は描写が似通っていて、さらに微妙な違いが面白い。
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(「王道の狗」安彦良和/1999年)
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(「大東亜論/アジア雄飛篇」小林よしのり/2018年)

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王道の狗では頭山満の登場シーンはここだけ。
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王道の狗で軽く流したシーンの詳細が大東亜論ではしっかり描写されている。

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金玉均暗殺後のいざこざの描写は似通っている。大越成徳(おおこしなりのり)の顔がかなり違う。wikiを見た限りでは大東亜論の方が正確だ。これはインターネット黎明期と全盛の差なのだろうか。
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大東亜論は絵物語要素が強いので、余白が少ない。

金玉均は朝鮮の近代化に尽力していた志士で、福沢諭吉などが援助し、国内でもネームバリューがあった。王道の狗の主人公は紆余曲折を経て、彼のボディーガードとなる。彼が暗殺されたことが日清戦争のきっかけになったらしい。そこは朝鮮じゃなくて中国なのね。よく考えるとよくわからん部分ではある。

王道の狗での金玉均は基本温和でアンニュイな人として描かれている。女癖が悪い描写があるが、勝海舟に「大石内蔵助」と評させている。ゴーマニズムの方は激情家としての描写が多く、主人公の頭山満が「大石内蔵助」になることを勧める描写がある。



SAPIO(サピオ) 2018年 12 月号 [雑誌]

SAPIO(サピオ) 2018年 12 月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2018/11/02
  • メディア: 雑誌



大東亜論 第三部 明治日本を作った男達: ゴーマニズム宣言SPECIAL

大東亜論 第三部 明治日本を作った男達: ゴーマニズム宣言SPECIAL

  • 作者: 小林 よしのり
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2017/07/24
  • メディア: 単行本



王道の狗 全4巻 完結セット (JETS COMICS) [コミックセット]

王道の狗 全4巻 完結セット (JETS COMICS) [コミックセット]

  • 作者: 安彦 良和
  • 出版社/メーカー:
  • メディア: コミック



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野見宿禰は弱かった!浮かび上がる真のラスボスとは?バキ休載中に読んでおくべき安彦良和の「蚤の王」 [歴史漫画]

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安彦良和の「蚤の王」を買ってみた。
バキ道の新章のラスボス、野見宿禰(のみのすくね)についての漫画だ。
今から17年前の2001年にモーニング新マグナム増刊で連載されたものなんだそうだ。

武蔵編終了間際のバキで、知ってて当然みたいな感じで触れられていたが、全然知らなかったのでちょっと知識が欲しかった。他の読者は大丈夫なのだろうか。宮本武蔵だったら、大体の人が脅威を感じるだろうが、野見宿禰では「誰?」と、なりはしないだろうか。つうか、伝説の相撲取りだったら雷電為五郎の方がずっとメジャーなような気がするけどどうだろう。

さて、蚤の王を読んでみた感想だ。
なんと野見宿禰が弱い。
というかあまり強くない。

ルックスは安彦良和漫画定番の主人公顔で、普通にマッチョ。年齢がちょっと老けている。お相撲さん体型ではないのが特徴だ。インディアンっぽい。蹴りと肘を主体に戦っている。というとムエタイっぽいのを想像するだろうが、テコンドーっぽい。酔拳2のラスボスっぽいかもしれない。
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そしてフィジカルは対戦相手の蹴速(けはや)の方が圧倒的なのだ。
とても宿禰が勝てそうな感じではない。
ちなみにウィキペディアにある画像では、宿禰方がフィジカルで圧倒している。

周囲の人がきを場外とするランバージャックデスマッチ形式で戦うのだが、それを利用して度々宿禰側に有利なように妨害が入る。やがて蹴速はこの戦いが自分の領土を奪うための、お上が仕組んだ罠だということに気づく。

「蚤の王」は、相撲の起源であり、殉死の廃絶を行なった野見宿禰と、それを許可した垂仁(すいにん)天皇の息子の病状が回復する史実を結びつけて、とりあえず一本の話にしてみました風な漫画だという感想を持った。だが、構成上重要人物であるはずの野見宿禰と垂仁天皇のいずれも激しく読者の感情を移入させるようなキャラに描写することに失敗しており、二人に復讐を誓う蹴速息子が大きく物語を動かす存在になっていて、なんだかなあというスッキリしない読後感だ。

今後、バキ道の二代目野見宿禰に絡んでくるかもしれないエピソードを紹介する。

1:野見宿禰は埴輪作りが趣味
生き埋めが嫌なら、埴輪を埋めればいいじゃない、と進言したのが野見宿禰だという。だから、粘土細工とか作るのが二代目も好きかもしれない。だが、あんなデカいなりで手先が器用だとは思えない。ちなみに蚤の王でも野見宿禰はあまり器用そうには描かれていない。
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2:野見宿禰は勉強が得意
学問の神様といえば菅原道真であることは結構知られていると思う。その菅原道真は野見宿禰の子孫なんだそうだ。蘇我馬子だの入鹿だの、名前で遠回しにディスるのが日本の歴史の特徴だが、野見宿禰は「蚤」。これが埴輪騒動で土をいじる役職を与えられたことから「土師(はじ」」になった。これが「恥」っぽくて嫌だと桓武天皇の時代に「菅原」になったとらしいと安彦良和は蚤の王のあとがきで書いている。

これは二代目菅原道真ありそうな気がする。
フィジカルもあって勉強もできる。そして霊能力(たたり)もありそう。ピッコロを吸収した魔人ブウみたいなものか?

 
ところで相撲の起源と言われる戦いが、蹴りを主体に戦っていたって面白いね。いまだにKー1が人気あるのは、日本人に刻まれたDNAを奮い立たせるのだろうか。それがなぜ廃れてしまったのか。ウィキを見ると、空手が一般的なものになったのは昭和だという。それまでは柔術みたいな組み技が主流だしなあ。剣道って蹴りあったっけ。
蚤さん3.png



蚤の王―野見宿禰 (中公文庫―コミック版)

蚤の王―野見宿禰 (中公文庫―コミック版)

  • 作者: 安彦 良和
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2004/08/01
  • メディア: 文庫



野見宿禰の墓屋 相撲の始祖

野見宿禰の墓屋 相撲の始祖

  • 作者: 信原 克哉
  • 出版社/メーカー: ブックハウス・エイチディ
  • 発売日: 2008/01/16
  • メディア: 単行本



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