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直された第二話。原哲夫「北斗の拳」は今日より明日!な作品となった [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]

ジャンプ黄金期の立役者的漫画は何か?

キャプテン翼、キン肉マン、シティーハンター、ドラゴンボール、聖闘士星矢とキラ星のような名作がひしめく中、元編集長の西村繁男の中では「北斗の拳」だとして語られている。ジワジワと人気になったわけではなく、経絡秘孔などの分かりやすくインパクトあるアイディアから、連載開始から爆発的にヒットになったというのが大きいと思われる。

そんな北斗の拳も、編集部内では最初だけの一発屋では無いかと危惧する面があったという。少年リーダムの劇中にも「連載一回目がトップだったにもかかわらず、10週打ち切りになった作品は山ほどある。」というセリフがある。

レザースーツ3.png
 
こないだ北斗の拳を数冊電子化する際に読み返したんだけど、やはり北斗の拳といえば最初の宿敵シン!そしてジャギ、トキ、ラオウの北斗四兄弟での戦いだと思う。シンとジャギが登場するまでは結構な間がある。シンのあとは長い低迷期に入っていたような気もする。四兄弟のネタがなかったら、北斗の拳はどんな作品として現在捉えられているのだろうか?興味深い。

 
少年リーダムの中で、すでに完成した第二話の原稿を丸ごと直させるシーンがある。
読み切りの段階で大人気。1話目も好評。
なのに危機感が頭から消えない担当編集者の堀江信彦。
原作者の武論尊にも掛け合わなければいけないのだから相当な労力だ。
レザースーツ4.png

「オレだったら絶対キレてる」と、その直しの第二話を手伝っていた巻来功士は、担当編集者の堀江信彦に不信感を抱き、本格的に独立するため原哲夫のヘルプを辞めたと「連載終了!」の中で回想している。

ところが巻来功士は描き直された第二話を本屋で立ち読みして、断然良くなっていると驚愕する。
レザースーツ1.png

それが「今日より明日」の種もみじいさんが出てくる北斗の拳第二話なのだった。
レザースーツ7.png

巻来功士は「連載終了!」のモノローグで語る。
「…それは漫画に独りよがりではない客観性を持たせる大切な行為の進化系であり すぐれた漫画家とすぐれた編集者が二人三脚になれば傑作が生まれるという実例であった。」

この後、「それでもなおその時の若い私は一人がいいと思っていた」とモノローグは続く。この辺がこの「連載終了!」のキモなのだが、傑作だから実際に読んでいただきたい。

ちなみに堀江信彦は島本和彦の「アオイホノオ」にも登場する。
実名ではないのでおそらくなのだが、北斗の拳のようなレザースーツを着ているので間違いない。
レザースーツ6.png
島本和彦の才能を見抜き、ちょくちょくアドバイスの電話をかけてくるようになるが、のちに言う島本テイストであるギャグ要素が受け入れられず、車田正美のようなもっとベタな漫画を描けと勧めたことがキッカケで疎遠になってしまうという話になっている。

 

北斗の拳 1巻

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  • 出版社/メーカー: ノース・スターズ・ピクチャーズ
  • 発売日: 1984/03/01
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少年リーダム~友情・努力・勝利の詩 3 (BUNCH COMICS)

少年リーダム~友情・努力・勝利の詩 3 (BUNCH COMICS)

  • 作者: 次原 隆二
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/04/09
  • メディア: コミック



連載終了!  少年ジャンプ黄金期の舞台裏

連載終了! 少年ジャンプ黄金期の舞台裏

  • 作者: 巻来功士
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2016/02/07
  • メディア: コミック



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江川達也の解説動画から考える「手塚石ノ森知らないと嘆かわしいのか」問題、手塚治虫の答えは「それでいいんです」 [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]

こないだ山田玲司きたがわ翔江川達也について語る動画を見た。

江川達也のデビュー作、「BE FREE!」について語る語る。
特にきたがわ翔の分析がすごい。
何枚もスケッチブックに江川達也の絵を模写して解説。

前後編になっており、前編はほとんど「BE FREE!」で終わっている。
金取れる動画だ。
実際、後編を課金して見たぐらいだ。

ところがである。
後編で「BE FREE!」以降になると、ほとんど語らなくなってしまうのである。
読んでいる人を出して語らせ、それをあまり興味なさそうに二人は聞いていたように見えた。

二人とも、今後も江川に描き続けて欲しい、俺たちだけは何が起こってもずっと味方だとエールを送りつつも、「BE FREE!」以外はなんの興味もないのである。おそらく新作描いたとしても読まないだろう。

江川達也作品を自分が最初に読んだのは「まじかるタルるートくん」だ。
当時感じたありのままを言えば器用な中堅作家という印象だった。
鳥山明的なセンスを感じたが、計算が目に付く。
今読み返すと、逆にそれが良いとも思える。
現在のイメージと遠い、読者に対して謙虚な姿勢を感じる。

タルるート後、「東京大学物語」「ゴールデンボーイ」の二刀流で打ちのめされた(初期は)。これは読めねばなるまいと思い、「BE FREE!」の愛蔵版を全巻購入したのだが、これがまたイマイチだったのである。当時、「BE FREE!」をバイブルに挙げる作家をよく見た。今でもたまに見る。何か革新性があったんだろうなというのはなんとなく伝わる。

きたがわ翔の解説を聞いていると、「BE FREE!」はそれ以前のマンガの予備知識があるからこそ楽しめたというのもあるようだ。リアルタイムで読んでいたからこその面白さ、革新性ではないのかということだ。だからタルるートから読み、「東京大学〜」を経て「BE FREE!」を読んだ自分には良さがわからなかったのではないか。そして動画の二人にとって、それ以後の江川作品は自己模倣の縮小再生産に思われた。一人の作家でも、どこから読むか、世代によってこれだけ評価が変わってしまうのである。

江川達也解説動画は、漫画が作家間で行われる記号のリレー、伝言ゲームだということも示唆している。だからそのことさえ分かっていればぶっちゃけ読んでおかねばならない過去の作品なんてものは無いように思える。

新しい世代が古い世代の作品を読むことは、一手間加わる。同じようでフォーマットが違うのだ。ジャンプしか読まない人がアメコミや少女漫画を読み始めるようなものだ。前回の「手塚や石ノ森を読んだこともないなんて嘆かわしい」のエピソードだけれども、苦労なく読めた世代のくせに、苦労を強いられるから読まない世代にマウントをとっているわけである。実際、嘆いた人がどんな人かは知らないけれども、こういうことは往往にしてある。

最近よく2ちゃんのまとめで「ドラゴンボールなんて今のジャンプで連載したら10周打ち切りだよな」という挑発的なコメントを見かける。おそらく「ドラゴンボールも読んでないなんて。。。」という人たちに対するカウンターなのだろう。最近、ドラゴンボールハラスメントとか炎上してたなそういや。江川達也がよく「自分は一番厳しい時代のジャンプで戦ってきた。今の奴らと一緒にするな」みたいなことをコメントしてた。

「ワンピース」や「ナルト」から漫画を読みだした今の世代の子が、どう読んでもドラゴンボールが受け入れられない、過大評価だと感じるのは有り得ると思う。「黒子のバスケ最高!」と言ってる若者に「スラムダンクも読んだことないなんて。。。」とか、気持ちはわかるが、構造的に陥りやすい老害の道に入り込み始めてると理解した方がいいと思う。ちなみに俺は「はじめの一歩」を中学時代の頃から愛読しているんだけど、「あしたのジョー」は二十歳ぐらいになって初めて読んでピンとこなかったんだよなあ。

 
ここがどこだって?
俺が生まれたんだから世界の中心よ!
…というノリは嫌いでもないけども、誰にとっても自分の生まれた時代が全て。
だからどの世代も「〜は最近ダメになった」「今時の若いもんは」などと繰り返すわけである。
ある意味避けられない現象だが、自覚的でいることは大事だと思う。

 
石ノ森章太郎が手塚治虫との興味深いやり取りを漫画にしている。
残りません.png
「…マンガは残りませんよ。」
「…そうかなァ… そうでしょうか。」
「作者と一緒に時代と共に、風のように吹き過ぎていくんです。ーそれでいいんです。」

さすが巨匠だなあ、と思う。

 



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手塚治虫、石ノ森章太郎を読んでいないのは嘆かわしいのか?自分の漫画史に誤解はないか問題 [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]


「手塚、石森、赤塚あたりいまの学生さんも読んでて当然、と漠然と思ってる中高年は多いと思いますが、そんなことはないのですよ。手塚はどうも地域の図書館や学童にあった等で、それでもまだ読まれているほうですが。」

というツイートが話題になってまとめられていた、…というのを今頃知る俺のアンテナ。漫画専門学校の講師なのだろうか、漫画の歴史の授業でレジェンドの名前を出すと教室が白けた感じになるのがわかるので嫌なのだそうだ。

それに対して、発言主に共感する意味で「嘆かわしい」とリプライする人がいて、講師が「それは違う」と返事したやりとりがすごく印象に残った。

(注意:ここからは俺の解釈で、講師さんの意図がなんだったかというのは置いておく。)

 
手塚、石森あたりに興味を持たないことが嘆かわしいだろうかと思う。
漫画の歴史の先生が知らなかったら嘆かわしいかもしれない。
単なる読者は、手に届くところにある漫画を読んで、電車の網棚に忘れて帰るのみである。

漫画編集者だったらどうか?
漫画家は?

この辺は実力主義だ。
実力が無ければそこに結び付けられてしまうかもしれないが。
本当に実力のある人なら、逆に変な予備知識がない方がいいのかもしれない。
実力のない人は古典よりも、近年のヒット作を知っている方が重要だろう。

弘兼憲史の「ラストニュース」のこのコマ好き。若手経営者がちょっと老害入ったカリスマ経営者に宣戦布告するシーンである。
通用しない1.png
「君の父上は本当に良きライバルでしたよ。」
「ありがとうございます。しかし、もう父の時代のやり方では通用しないと思っております。」
通用しない2.png
「ふむ…しかし、キミが父上を乗り越えるまでにはもうちょっと時間がかかるでしょうなあ。」
「東都新聞は百年の歴史を誇りますが、テレビ業界はたかだか四十年(1993年時点)の浅い歴史しかありません。経験が必ずしもプラスに働くとは限らないでしょうね…」

 
漫画の歴史というと、大抵の人が思い浮かぶのはいわゆる「トキワ荘史観」というヤツだ。手塚治虫が誕生して漫画が生まれ、それに憧れた石森、赤塚、藤子不二雄とその他のよくわからない仲間たちが集って漫画文化を確立した。これが一般の日本人の認識だと思う。その上のレベルになると、貸本という媒体で描いてたさいとうたかをとかがいて…ぐらいのボンヤリした知識が入ってくる。

この辺を知らないと「嘆かわしい」とマウント取りに来る人は割とたくさんいそうな気がする。

だが、それ以前にも漫画はあった。
みなもと太郎の「マンガの歴史」にその辺のことが書いてあったような気がする。気がするというのは、読むのが苦痛で読んだ後に全て忘れてしまったのだった。別にマンガの歴史に興味があったわけでなく、みなもと太郎ファンだから買っただけなのだ。これが漫画で描かれていたら、もっと頭に入ってきたのであろうが。。。

「嘆かわしい」というからには、この辺の手塚以前も知っていなければ話にならんだろう。こないだ手塚治虫の師匠である「謎の漫画家・酒井七馬」を読んだばかりだが、知らないことばっかりだった。そして、そんな俺の知らないことにもマニアがおり、交流したり展示会を開いたりして知識を補完しあったりしている。正直、ちょっと頭がクラクラした。

人それぞれの漫画史があると思う。
無難にまとめに入りたいわけではなく、それぞれ「こうだ!」という漫画史があり、それが正しいと誤解しているのではないかという話だ。

 
続く。

 
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嫉妬漫画家の巨匠、手塚治虫は本宮ひろ志にも嫉妬していたのか問題 [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]

コンビニの廉価版単行本で、「春爛漫」という漫画を見つけた。
本宮ひろ志の自伝漫画だ。

面白そうだったので、ネットでプレイボーイコミックス版を購入。
1985年の第16刷だった。ちなみに初版は1981年。売れてる。。。

内容は自伝本である「天然漫画家」とかぶるが、ちょっと違う部分もある。今度読み比べてみよう。

その「春爛漫」の最後の方で、「男一匹ガキ大将」でヒットを飛ばした本宮が、出版社のパーティーでセンパイ漫画家から「インテリジェンスが感じられない」などと、散々なじられるシーンがある。
春爛漫1.png

で、そんなお上品な先輩作家たちを恫喝するスピーチがクライマックスだ。
春爛漫2.png
春爛漫は実話に基づくフィクションとしているが、同じようなことをいかにもやりそうである。

これを読んで、そういえば手塚治虫って、本宮ひろ志のことどう思ってたのかなと、ふと思いついた。手塚治虫といえば、AKIRAだったり石ノ森章太郎だったりあしたのジョーだったり、同時代に売れてる漫画にことごとく嫉妬して「何が面白いのかわからない」「あんなの自分にも描ける」が口癖だったみたいに語られている。

前回本宮ひろ志の新作「グッドジョブ」が面白かったと描いた。この漫画はインテリジェンスがないことはないが、マニアが語り継ぐような作品ではない。ブルーカラーがラーメン屋で読んだり、ホワイトカラーが通勤電車で読んでスカッとして網棚に置き忘れていく類の漫画だ。だからこそ貴いという見方も出来る。パッと見てパッと忘れる普通の人のための作品。三谷幸喜なんかもそういう路線を極めたいとしているらしい。インテリジェンスがあるのも無いのも、どちらも人間だ。「なければならない」というのは願望であって、リアルな人間描写では無い。

そういうインテリジェンス側の人間では絶対描けない表現ができる本宮ひろ志を、手塚治虫はどう思っていたのか調べてみたら、吉田豪のインタビューしか出てこなかった。
------------
本宮:もういいよ。パーティーは。昔、手塚賞のパーティーで珍しく審査委員長の手塚(治虫)さんが出てきて、「いまの若手は人気ばっかり気にして描いてるから、それはよくない」って言ったことがあるの。

吉田:そのとき本宮先生が喧嘩を売ったんですよね?

本宮:なんか言ってるとは思ったけど、挨拶をちゃんと聞いてなかったんだよね。俺が選考の発表だったんで、いきなり「漫画で一番重要なのは人気だ」って言っちゃってさ(笑)。

吉田:ダハハハハ! 喧嘩売る気はなかったんですか?

本宮:いや、相手神様だけど、べつにいいやと思って、「漫画で一番重要なのは人気で、最初はみんな並なんだから、人気を出すことによって化けていくことができるから、とにかくお前らは人気を取れ」って言って。そしたらシーンとなっちゃったわけね。

吉田:そりゃあなりますよ。

本宮:手塚さんが俺を睨んでるんだよ。それっきり口も利いてくれなくなった。
-----------------

一体いつ頃の話なのかはよく分からない。
集英社の手塚賞授賞式でのことと書いてあるから、昭和の末期という説がある。

本宮の最後の少年ジャンプ作品である「赤龍王」の単行本1巻著者コメントで同じようなことを書いていることから、昭和61(1986)年ごろというのが正解かもしれない。
春爛漫4.png

そういえば本宮ひろ志が政界進出ドキュメンタリーで描いた「やぶれかぶれ」の中で、どう思うか同業者にコメントを求めた中で、手塚治虫のコメントもあった。一応、手塚は本宮の存在を認識していたことはわかる。
春爛漫3.png
ちなみにこれが1982年ごろのコメント。
褒めてるような、貶してるような、どちらにも取ろうと思えば取れる味わい深いコメントだと思う。

 

春爛漫 (SHUEISHA JUMP REMIX)

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  • 作者: 本宮 ひろ志
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2018/12/21
  • メディア: ムック



春爛漫

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  • 出版社/メーカー: サード・ライン
  • 発売日: 2012/10/13
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55歳からバイトを始めた原田久仁信の「増補DX完全版 劇画 プロレス地獄変」 [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]

何回改訂されているかわからない、原田久仁信(はらだくにちか)の「増補DX完全版 劇画 プロレス地獄変」を購入した。加齢と、原作の梶原一騎不在のため、クオリティは「プロレススーパースター列伝」や「男の星座」にはるかに劣る。が、プロレスに興味ないのに掲載誌は欠かさず買ってしまっていた。単行本までは。。。と思っていたが、なんとなく購入。

あとがきが良かった。
一時期引退してラーメン屋をやっていたというのはどこかで書いていたが、もう少し詳細に描かれていて、漫画家の晩年というものがわかる。

55歳(2006年)ぐらいの頃、仕事が減って来たようだ。
デビュー以来ずっと梶原一騎と組んで来たので、男の星座終了が87年だから、20年は独りでやっていたことになる。漫画と並行してバスの清掃や、食品会社の冷凍倉庫の深夜バイトをしていたという。そして親類が廃業したラーメン屋を引き継いだものの、1年で見切りをつけたそうだ。その頃、また漫画の依頼が来はじめ、画業再開となったという。
地獄変3.png
自身も書かれている(言われている)通り恵まれた人生であるとは思うが、ヒット作を持つ漫画家ですらこうなのだ。凡百の作家がどうなるか。あまり想像を巡らせたくない。漫画家を志す人もすでになった人も、少し頭の中に入れておくべきなのかもしれない。

ちなみにプロレス地獄変の中では阿修羅原のエピソードが好きだ。
仕事熱心だったが金遣いの荒さから会社から追放されたレスラーを、関係者が探し出しカムバックさせる話。
地獄変1.png
老後は運動部学生の指導をしながら親の介護をしているという。雑誌に載ったレスラーの近影が、まるで戦国武将のようにシブくてカッコよかった。
地獄変2.png
増補DX完全版 劇画 プロレス地獄変

増補DX完全版 劇画 プロレス地獄変

  • 作者: 原田 久仁信
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2017/11/22
  • メディア: 単行本



劇画 プロレス地獄変

劇画 プロレス地獄変

  • 作者: 原田 久仁信
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2013/08/07
  • メディア: 単行本



劇画 プロレス夢十夜

劇画 プロレス夢十夜

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2012/11/12
  • メディア: 単行本



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漫画業界の究極のタブー、アシスタント問題が炎上!疑惑の佐渡島庸平が読める鈴木みその「でんしょのはなし」 [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]

うすた京介が業界のパンドラの箱を開けてしまった。
三田紀房の職場ホワイト宣言が過去の実態とかけ離れたものであるため疑わしいと訴えた元アシスタントに対し、「嫌なら辞めろ」発言。漫画業界の究極のタブーを広く認知させる結果となった。これをきっかけに漫画業界が崩壊する可能性はないこともない。

以前から、業界のタブーに異常とも思える執念を燃やしてきてうっとおしかった佐藤秀峰が、早くからこのタブーにも取り組んでいると知ったのは180度印象を変える出来事だった。常識人過ぎる。問題の発端となった三田紀房の職場ホワイト宣言が、プロデューサーの演出ではないかとする推理は卓見だ。三田紀房には佐渡島庸平という売れっ子編集者がマネージメントを行なっているらしい。炎上の第一人者、志々雄真実における佐渡島方治のような関係だ。

その佐渡島庸平がどんな人か読めるのが鈴木みその「でんしょのはなし」。電子書籍の現場はどうなっているか。2013〜15年に描かれた漫画だ。佐渡島以外にもAmazonやDMMなどにも取材を行っており、それが大変に面白い。今読んでもパラダイムシフト(目からウロコ)な内容だ。
佐渡島1.png
ネット時代の漫画の売り方について色々と模索をしている。
佐渡島2.png
漫画を売る「導線」についてもっと考えるべきなのではという話は興味深い。
佐渡島3.png
ヴィレッジバンガードとか、そういうヒントがあるやね。
佐渡島4.png
彼の演出という疑惑が持たれている三田紀房の職場ホワイト宣言ですが、「作画の外注」ってあるけども、外注先がブラックになるだけなんじゃないかなあと思う。ゼンジョーホールディングスがバイトを外注扱いしてブラックを否定したみたいな。

 

でんしょのはなし (マイクロマガジン☆コミックス)

でんしょのはなし (マイクロマガジン☆コミックス)

  • 作者: 鈴木みそ
  • 出版社/メーカー: マイクロマガジン社
  • 発売日: 2015/06/30
  • メディア: コミック



でんしょのはなし

でんしょのはなし

  • 出版社/メーカー: eBookJapan Plus
  • 発売日: 2015/06/27
  • メディア: Kindle版






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自称、有能編集者が漫画家に勧めた「漫画の描き方」の本とは!? [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]

前回、中津賢也で調べたら、こんなのが出てきた。
耐えよ1.png
「耐えよペン」
島本和彦の「燃えよペン」で、ライバル作家「うかつ賢二」として登場してたのが執筆のキッカケなんだと思われる。一話8ページのみの短編で単行本未収録。勿体無い。

続かなかった理由としてはタイトルが悪かったんじゃないかなー。耐えることがテーマって。無意識のうちに嫌な実体験エピソードしか描けない縛りになっちゃって、作者が嫌になっちゃったんじゃなかろうか。一話の内容も「合わない編集者からの仕打ちに耐えた(?)」という内容になっていて、本当に嫌そうで、笑いに転化できそうにない。

驚いたのが、作中で合わない編集者に勧められたという「漫画の書き方」の本!
耐えよ4.jpg

これ、アニパロコミックスで連載していた潮藍の「マンガの描き方教室!!」じゃないですか?
耐えよ2.png

 
知人にこのことを教えてみる。

「その可能性もあるね。」との返事。

「ねーよ!
 キャプつばが表紙の漫画の書き方本なんて、宇宙探してもこれ一冊しかねーよ!」

 
いい本ですよこれ。
当時としては珍しい、作画技術オンリーのハウツー本(ページが足りなかったので半分は作者の短編)。漫画家に勧めるのは内容以前のモラルの問題ですけど。
耐えよ3.png
現在Amazonでも売ってないのが残念。

 

黄門じごく変 1 (少年サンデーコミックス)

黄門じごく変 1 (少年サンデーコミックス)

  • 作者: 中津 賢也
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1986/01
  • メディア: 新書



燃えよペン

燃えよペン

  • 作者:
  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 1992
  • メディア: コミック


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強烈なインパクトを残したアニパロ作家、メヂマ多田はカメントツのルーツか? [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]

以前、シリーズでアニパロコミックスのことを書いた。

四半世紀前、まだ著作権に緩かった古き良き時代のプロ同人誌だ。
雑誌がなくなり、ほとんどの作家もいなくなってしまった。
その消えた作家の中で、最も自分の心の中に消えない爪痕を残した作家といえばメヂマ多田だ。

と、言っても好きだったわけはない。
できれば視界に入れたくないほど苦手な作家だった(結局全部読んでいるのだけど)。アニパロコミックスの中で男性作家というのは珍しいが、とにかく雑誌のカラーから浮き上がっていた。マニアックすぎるネタのチョイス。潰れたペン先で描き続けた様な気持ち悪い線。作者のキャラクター。。。掲載順やら巻末コメントやら、雑誌的にも存在を持て余している様に見えたのは自分だけだろうか。
メヂマ1.png

メヂマ多田はアニパロコミックスの8号あたりから投稿者としてデビュー。
編集者のコメントから察するに、おそらく姉妹雑誌の常連投稿者だったのだろう。正式に作家陣として採用された時の編集者のコメントが罪深い。
メヂマ3.png
ーーーーーーーーーーーーーー
本人から、どうしたらもっと良くなるかと質問がありましたが、これは難しい問題です。線を綺麗にすればメジャーっぽくなるのでしょうが、それではあなたの持ち味が死んでしまいますし‥。(後略)
ーーーーーーーーーーーーーー
確かに難しい問題だ。
まあ要するに、絵柄以前に漫画として大して面白くないの一言で片付けられてしまうのだけれど。

メヂマ4.png
メヂマ多田は33号で「本人の希望により」突如休載。次号から復活と書かれていたが、結局何の説明もないまま(あったのかもしれないが)54号でアニパロコミックスが休刊になるまで帰ってくることはなかった。あれから四半世紀経ったが、その間、一度として彼の詳細を確認できていない。

後年、頭山(あたまやま)という落語原作のアニメがアカデミー映画短編アニメ部門賞をとった。真っ先に思い出したのはメヂマ多田のラピュタ4コマである。落語風に落としているだけで、本当にそういう落語があるとは知らなかった。魔夜峰央の様な博学さだなと、その時少し見直したものである。こういう方面を伸ばせば良かったのではなかろうか。
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こないだふと思ったのだが、自画像がカメントツに似ている?絵柄もなんか似ているかもしれない。アドバイスを求められたアニパロ編集者も、こんな風に描きなさいよとするのが正解だったのかもしれない。
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カメントツのルポ漫画地獄 (ゲッサン少年サンデーコミックス)

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  • 作者: カメントツ
  • 出版社/メーカー: 小学館
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「頭山」山村浩二作品集 [DVD]

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実写版ジョジョの奇妙な冒険を監督する三池崇史は何者なのか?山田玲司の「絶望に効く薬」 [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]

ジョジョの実写映画。
こないだ新しい予告が公開されたが、劇中で使用されるビジュアルは一切使用されてないとのことで見ていない。まとめサイトで映画化に対する反応を読んでいると、あまり映画を見てない人たちだなという印象をもつ。自分も最近は見ていないが、年間400本ぐらい見た時期もあって、だいたい理解したつもりになっているので、この映画化に対する正しい反応を書いて見たいと思う。もちろん独断と偏見で。

成功するかしないか?
答え=成功しない。そもそもこんな事を考える事自体が映画をあまり見ていない証拠。何をもって成功するかという問題もあるが、それ以前に曖昧な定義で考えて見ても、成功したと言える映画が何本あるのか。今年で言えばパッと思い浮かぶのが「シン・ゴジラ」に「君の名は。」に「聲の形」だろうか。結構あるじゃないかと思うだろう。そんなものは分子の話だ。分母はその何百倍なのだ。確率的に言えば成功しなくて当たり前なのである。

ミスキャストじゃない?
もっと外見がオリジナルに似た人を使え!なぜいつも同じような俳優を使うのか?という声は必ず上がる。その手の人たちは映画を見てないから演技力など理解できないし、どうでも良いらしい。そもそも完成された映画すら見ないかもしれない。そういう人が見てる数少ない映画は、映画作品全体の上澄み。アベレージの高い作品である。もっとゴミ見たいな映画をたくさん見ていれば、金のあるところに良い役者が集まるというのが分かるはずだ。原作とそっくりな人が偶然達者な役者さんだった、という都合の良い話は無い。あと演技が上手いだけでもダメだ。特に主役を張る役者は華がないと失敗する可能性は高くなる。

三池1.png
監督の三池崇史って誰?
最後にかめはめ波的なぶつかり合いで地球が崩壊するヤクザ映画を撮って、一躍スターになった監督。あまり自分のイメージに固執せず、異常な数をガンガン作っていく印象。。。なのだが、直感力が優れているとでも言おうか。ラフに引いた線でも何か芸術性を感じさせたりもするのだ。自分的には「中国の鳥人」という映画が好きだ。他は。。。正直、どうでもいいのだけれど。
三池2.png
三池監督は山田玲司の「絶望に効く薬」11巻にも登場している。
なぜあれほど作品が作れるのかという理由が垣間見える。
流れに逆らわない。逆らわなければ倍のスピードが出る。どこにたどり着くのかはわからないけども。目的地を決めるから、歩みは遅くなっていく。そして歩かなければ目的地にたどりつくための力も身につかないのである。
三池3.png


絶望に効くクスリ―ONE ON ONE (Vol.11) (YOUNG SUNDAY COMICS SPECIAL)

絶望に効くクスリ―ONE ON ONE (Vol.11) (YOUNG SUNDAY COMICS SPECIAL)

  • 作者: 山田 玲司
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2007/10
  • メディア: コミック



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漫画の描き方が書かない漫画の描き方を考察する?記伊孝の「巨匠と過ごす夏」 [漫画の描き方が書かない漫画の描き方]

Kindle読み放題で「巨匠と過ごす夏」という漫画を見つけた。
「となりの山田くん」が作られていた頃、スタジオジブリで一般の参加者を募って行われた演出家育成講座。その参加者の回想漫画であるらしい。

予備知識なしで見たので、ジブリで一定のキャリアを得た人が過去を回想して描いてるのかなと思いながら読んでいた。宮崎駿は似ているものの、なんか微妙な絵柄だなとページを読み進めていると鈴木敏夫プロデューサーが登場。この絵を見て一気に期待が高まった!
巨匠1.png
読後の正直な感想は「面白いけど、いまいち消化不良」。宮崎、押井、庵野、高畑などなど、講座に出てくる巨匠たちは魅力的で、いつまでもこの世界に浸っていたいとまさにプロの筆力を感じるのだが、それ以外の一般人の描写はいまいちで浸っていたくない。この世界観の温度差のメリハリが、少し難しそうな作者の人間性を感じてしまうのだ。
巨匠2.png
作者はこの講座の後にプロの漫画家になったそうであるが、自分はこれまで全く知らなかった。現在は作品を全て自分で管理し、電子書籍を主戦場にしているらしい。「アニウッド大通り」が看板タイトルで、この「巨匠と過ごす夏」はその単行本のオマケ漫画をまとめたものだと知り、いろいろ納得がいった。アニウッド大通りを現在2巻まで読んでいる。まだ判断しづらい部分もあるが面白い。何より絵が上手い。


さて、この漫画で登場する○端さん。
理屈が好きで、自信過剰気味。
自分の作品は作らないが、他人の作品には辛辣。
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ありがちなプロ志望者である。

作者も「理想が高すぎて描けなかった時期」があったと回想している。理屈好きは作品制作の上で落とし穴なのである。脳は発達するが、筋肉は鍛えてないので望んだ成果が得られない。やる気が出ない。だからいつまでも筋肉が鍛えられず、望んだ成果が出ない。悪循環である。そして筋肉を鍛えるのは地道で、長い時間がかかる作業なのである。ちなみに「巨匠と過ごす夏」では宮崎駿が暇を見つけては常に絵を描いている描写がある。
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○端さん系の人たちに仮に分析力があったとして、「なぜ描けないか」に分析が及ばないと言うのは不思議である。つまり出来上がった作品に対して、上澄みしか見てないと言うことなのだと思う。作品批評というものは、エベレスト登頂に成功した人に「ガッツポーズがなってない」と文句つけるようなものである。お客様であるなら過程はあまり関係ないかもしれないが、作り手の立場に回るならそうはいかない。プロの漫画家に対し「何百倍の競争率を勝ち抜いて連載を勝ち取って、平均睡眠時間3時間で毎週描き続けた上で、お前より面白い作品作れるぜ!」と、なかなか言える人はいないと思う。


巨匠と過ごす夏(前): 宮崎駿と13人の塾生

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タグ:宮崎駿 批評
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